「こんなはずじゃなかったのに…」を減らしていこう
植物を育てる事はとても楽しいことですが、こんなはずじゃなかった…と、後悔してしまうこともたくさんあります。
そこで今回は、人気があるけどリスクがある樹木と、その対策についてご紹介していきます。
樹木のリスクって何があるのか?
家に樹木を取り入れることにより起こる問題として以下が考えられます。
- 成長速度と繁殖性
- 虫害
- 病害
- 棘
- 果実
成長速度と繁殖性
樹木はより多くの日光を取得するため、地上に根を張り、より高く、より長く枝葉を伸ばしていきます。
樹種によって成長に差があり、種類によってはこまめな剪定が必要となり、手間と時間が多くかかってしまう種類もあります。
代表例
シマトネリコ
モクセイ科の常緑樹で、非常に成長が早いため、小まめな剪定が必要となります。
また、枝葉だけでなく、根の広がりも非常に強く、成長した根が地中のコンクリートや配管を持ち上げたり、破壊してしまう危険性もあリます。
また、実生(種子が地面に落ちて発芽する)でも成長しやすく、風や鳥を媒介したタネは、意図しない場所から発芽してしまうかもしれません。
このような強い成長性から、在来種を圧迫する可能性があるとして、近年問題視されています。
竹、笹類
イネ化の多年生植物になり、非常に成長が速く、地面から生えたタケノコが、10日程で1m近く成長してしまいます。
また、竹の根っこは「地下茎」と呼ばれる茎を、根のように地中に伸ばす特徴があります。。
この地下茎からタケノコが発芽し、ぐんぐんと竹として空へ伸びていきます。
竹をいくら伐採しても、この地下茎がある限り、新芽が発生し、成長を続けていきます。
つる植物
一般的に植物は、根・茎・葉という3種類の器官から成り立っています。
ですが、つる植物は自身を支える支持組織を発達させません。
その代わり、他の植物や構造物に絡みつき、それらを支えにしながら、茎をつるとして、上へ上へと伸ばしていく特徴となります。
その特性を活かし、ゴーヤやきゅうりなどを用いたグリーンカーテンや、マンションや商業施設での誘引資材を使った壁面緑化など、利用されています。
ですが、四方へと新たなつるを伸ばすため、意図しない方向へと成長する可能性があります。
また、竹と同様に地下茎をのばす種類も多く、様々なところに絡みついて伸びていきます。
対策
シマトネリコや竹など、成長の強い樹種に関しては、プランターの利用により成長を抑制することが可能です。
また、竹やつる植物など地下茎をのばす種類については、防竹シートというシートの利用もお勧めです。
新しく植える際に、地中の根の周りにシートを巻き込み、根の伸長を抑制することが可能となります。
虫害
美しい花も熟した果実も、青々と茂った成葉も木の幹も、虫たちの大好物であり大集合となる可能性があります。
中には葉っぱを食べ尽くしてしまったり、幹を痛めてしまう虫がいるため、樹木の生育にも大きな影響を与えます。
また、触れただけでかぶれたり、痛みを発生させる虫もいるため、注意が必要です。
代表例
バラ科の植物
春を桜色に彩るソメイヨシノをはじめ、バラや梅などバラ科の植物の多くは、その美しさや香りにつられ、多数の虫が集まってきます。
青々とした成葉や枝や幹などに寄生し、葉を食べたり幹から吸汁して樹木を弱体化させ、ひどい場合は枯死してしまう原因にもなります。
また、寄生した虫が要因となり病気を発症してしまうケースもあるため、早めの防除が必要となります。
代表的な害虫として、ソメイヨシノの葉を食べるアメリカシロヒトリやモンクロシャチホコなどの毛虫類
ゴマダラカミキリやクビアカツヤカミキリなどのカミキリムシなど多様な虫が寄生します。
また、バラにもアブラムシやゾウムシ、カイガラムシなど多くの虫がその美しさに引き寄せられてしまいます。
ツバキ科の植物
ツバキ、サザンカ、ヒメシャラなどのツバキ科の植物にも、チャドクガという毛虫が集まります。
葉裏に孵化した幼虫が葉っぱを食べ尽くし、放置していると全体を丸裸にするほど食欲が旺盛です。
また、この毛虫には毒性があり、皮膚に触れると軽い痛みと激烈な痒みを発症するため、注意が必要です。
対策
大切な植物から虫を防ぐには、葉や茎、根元付近の状況を細かく確認し、見つけたら捕殺することが最も重要となります。
また、薬剤や木酢液を散布することにより防除、殺虫を行うことも大切です。
病気
樹木が病気にかかる発生元のの多くはカビやキノコによるものです。また、細菌や先ほど紹介した害虫が発生元となる病気などもあります。
風通しや日当たり、湿気などが病気の発生原因となることが多いです。
代表例
バラ科の植物
バラ科は非常に繊細で、病気にかかりやすい樹種になります。
葉っぱに黒い斑点ができる黒斑病や、葉や蕾に白い粉をつけるカビの一種のうどんこ病、根や株元にこぶを発症させる根頭がん腫病などはがん腫病などはバラの3大病とされています。
また、こうやく病という病気の病原菌はカイガラムシに寄生して発症することも多く、虫をきっかけとして発症する病気も多いです。
ブナ科の植物
最近、山林に生えるコナラやミズナラ、マテバシイなどが、「カシノナガキクイムシ」によって枯れてしまう「ナラ枯れ」被害が多く発生しています。
樹木の樹幹に侵入したカシノナガキクイムシには、体内にラファエラ菌(ナラ菌)を貯蔵しており、この菌が樹体内に増殖することで水の吸上げが阻害されることによるものです。
対策
樹木の日当たりや風当たりを良くすることにより、発生を防ぐことが可能です。
新しく植える時、事前に日当たりや風通しが良いか確認することと、小まめに剪定や枯れ枝などを除去し、日当たりを風通しをよくすることが重要です。
また、虫害対策同様、葉や茎など、植物の小まめな点検と、適切な薬剤の散布などの対策が必要です。
棘
幹や枝に棘がある木の種類は多くあります。
「綺麗な薔薇には棘がある」の通り、バラやみかんなど、美しい花や果実が実る木などに多くあるのが特徴です。
また、棘のある木は古くから魔除け(厄払い)になるとされ、庭木に多く利用されています。
植物の棘は元々、枝や葉だったものが変化したものが多いようです。
代表例
ヒイラギ バラ 果樹など
植物の棘は元々、枝や葉だったものが変化したものが多いようです。野生動物に食べられることを防いだり、蒸散を防ぐためにできた、など様々な憶測が広がっています。
対策
棘のある植物を扱う際は、必ず長袖と長ズボンを着用し、棘が刺さりにくい厚手の手袋を着用しましょう。
着用するズボンやシャツも、厚手のものを選ぶと良いでしょう。もしくは、穴が空いても良いよう、破れても良いような衣類を選ぶと良いですね。
果実
樹木から実った果実は、私たちにとっておいしく食べることができますが、虫や鳥も同じです。
美味しい匂いや見た目に誘われ、多数の虫が集まり、果実を食べ尽くし、木の根元には食べカスが散乱します。
また、落ちた果実をそのままにしていると腐ってしまい、衛生的にも悪く、悪臭やカビの原因にもなってしまいます。
代表例
みかん、ブルーベリーなど
みかんにブルーベリー、ジューンベリーやカリンなどは庭にも多く利用され、花や果実など、庭を華やかに彩ってくれます。
しかし、実が落ちることを考えると、小まめな手入れや清掃が必要となり、時間と手間がかかります。
対策
防虫防鳥ネットを利用することにより、食害を防ぐことが可能です。
また、果樹の周りについては小まめに清掃を行い清潔な状態を保ち、果実が腐ってしまう前に処理することが大切です。
まとめ
というわけで今回は「樹木の様々なリスクを知っておこう」と題して、植物を育てる上で問題となりそうな点や対策についてご紹介しました。
しかし、植物も虫もカビ菌も、私たちに嫌がらせをするために存在しているわけではありません。
多様な食物連鎖と生物同士の生存戦略の一部に過ぎません。
シマトネリコも、バラも、ヒイラギやブルーベリーも、庭木として魅力的な植物で非常に人気があります。
それぞれ植物に問題があることを知った上で対策を講じ、共生していくことが大切ですね。
最後までご覧いただきありがとうございました!
これから樹木を楽しみたい方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
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